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政道を正しく導くべく、己の斬首と引き換えに、失政の元凶とされる藩主・右京(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を刺殺した兼見。だが死ぬことを許されず、一年の閉門でひたすら武士道を見つめ直した兼見は、中老・津田(岸部一徳)から言い渡された藩命に殉じていく。御上に生かされた真の意味、剣の大義とは何かを模索する兼見の、その抑圧的なまでの忠義心は、やがて自身の運命をも狂わせていく。

病弱ながら、兼見に静かに寄り添ってきた妻・睦江(戸田菜穂)。共にいたわり、季節の移ろいを愛でてきたふたりだが、病はかけがえのない幸せを葬ってしまう。亡き妻への恋しさから現世への執着を失い、斬首覚悟の不祥事を起こした兼見だったが、そんな彼を献身的に世話したのが亡き妻の姪・里尾(池脇千鶴)だった。彼女によって生を取り戻した兼見は、出戻りである里尾との秘めた恋慕を募らせていく。

自身が編み出した必勝剣“鳥刺し”を、御上のために役立てるよう藩命が下された兼見は、藩主の右京と対立する別家・帯屋(吉川晃司)と剣を差し向かえる。だが直心流の剣豪である帯屋との対決は、兼見を予想もしない戦いへと巻き込む。愚直に藩命に殉じてきた兼見が対峙する過酷な運命。寡黙な男が生への情動を爆発させ、運命に抗うように剣を振り上げるクライマックスは壮絶さと悲壮を極めていく。 城内での藩士たちの立ち居振る舞い、武家屋敷内でのふすまの開け方や食事作法など、古きよき所作が随所にみられる本作。兼見と帯屋の緊迫した居合いも、時代劇の様式美を踏襲しているが、そこから人間の本質がむきだしとなった大殺陣へとなだれ込む展開には、荒々しいリアリズムが同居する。また私情を抑え、藩に従う兼見の姿には、現代のサラリーマン的な哀切があり、リアルな説得力を放っている。
2010年/日本/114分
監督:平山秀幸 原作:藤沢周平
出演:豊川悦司、池脇千鶴、岸部一徳、吉川晃司、戸田菜穂
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