1939年公開のマキノ正博監督による時代劇オペレッタ映画に様々なエピソードを加えた宝塚オリジナル版。長屋住まいの浪人と隣に住む娘との恋模様を、陽気な殿様も巻き込んでの騒動を描いた華やかなミュージカル作品。舞台は花咲藩の城下町。三年振りに歌合戦が開催されるという嬉しい報せに、町は大いに賑わっていた。堅苦しい宮勤めを嫌う浪人・浅井礼三郎(柚香光)は、木刀削りをしながら貧しくとも気楽に暮らしていた。彼のまわりでは、隣家に住む傘張り職人の娘・お春(星風まどか)、料亭香川屋の娘・おとみ(星空美咲)、親同士が勝手に約束した許嫁・藤尾(美羽愛)が恋の鞘当てを繰り広げている。引く手あまたで困り果てる礼三郎はお春に想いを寄せながらも、気のないそぶりでやり過ごしていた。お春の父・狂斎(和海しょう)は骨董に目がない困り者で、その日の米代すら怪しげな骨董品へ注ぎ込んでいた。そんな父に腹を立て、歌合戦に出るための晴れ着も買えないと嘆くお春。礼三郎は笑いながらお春を諭し、生みの親の顔も知らず、育ての父も早くに亡くした自らの身の上を語る。そして、大切にしている「お守り」を貸してあげるのだった。所変わって、花咲藩城内。藩主・峰沢丹波守(永久輝せあ)は藩政に見向きもせず、骨董収集にうつつを抜かしていた。家臣たちが不満を募らせていると、丹波守の正室・麗姫(春妃うらら)が現れ、主が政から目を背ける”本当の理由”を説明する。そして、丹波守を改心させるべく長年行方知れずの「鴛鴦の香合」を探し出すよう依頼する。そんなある日のこと。道具屋で狂斎と出会ったことがきっかけとなり、丹波守がお春を見初めてしまい・・・。礼三郎とお春の恋の行方はいかに――。 〜原作 映画「鴛鴦歌合戦」(c)日活株式会社 監督/マキノ正博 脚本/江戸川浩二〜/脚本・演出:小柳奈穂子
2025年/花組/キャスト:永久輝せあ