フランスの文豪スタンダールの長編小説を原作に、2016年にパリで初演され大好評を博したロックオペラを日本で初上演。宝塚歌劇でも1957年に菊田一夫脚色、1975年に柴田侑宏脚本により上演され、その後も度々再演を重ねてきた不朽の名作。時を超えて人々の心を捉える珠玉の物語を、ドラマティックに謳いあげるロック・ミュージカル。古く寂れた芝居小屋。座長風の衣装を身にまとったジェロニモ(暁千星)が登場し、200年経った今も色褪せない物語の幕開けを告げる。それは、流れる血のように赤く、深い影のように黒い、普遍の愛で彩られた物語―。ナポレオンが没し、再び王政復古となった頃のフランス。貧しい製材業の息子として生まれたジュリアン(礼真琴)は、繊細な神経と聡明な資質、そして強い自尊心をそなえた美しい青年であった。彼は、立身出世をし、富と名声を手に入れるという強い野望を秘めていた。そんな彼のもとに、町長であるレナール家の家庭教師の話が舞い込む。レナール家の人々は、家庭教師としてやってきたジュリアンが予想外に初々しく素朴であることに驚いたものの、聡明な彼をすぐに気に入り、信頼と尊敬の眼差しを向けるようになっていく。貞淑な妻ルイーズ(有沙瞳)は、周りの男達とは違うジュリアンに今までにない胸のときめきを覚える。ジュリアンもまた彼女の情熱と美しさに次第に心奪われていくが、上流社会への嫌悪感や敵対心を拭い切れず葛藤する。ある時ジュリアンは意を決し、彼女に愛を告げる。ジュリアンの愛をルイーズも受け入れ、心から想い合う二人だったが、やがて二人の仲を密告する手紙がレナールのもとに届く…。
潤色・演出:谷貴矢
2023年/星組/キャスト:礼真琴、暁千星