江南の商人に成りすました楊凌は、巧妙な策で王竜の逮捕に成功する。だが肝心の尋問中に王竜が刺客に殺されてしまい、弥勒門の実態は暴けぬままだった。一方、幼娘を捜索していた成綺韻はタタール兵の襲撃から遊牧民を救出する。そして無事に保護された幼娘は、自分の命を救った女性の正体を知らされるのだった。

朶顔三衛と同盟を結ぶ交渉に向かった楊凌。朶顔三衛の首領の花当は締結式を行う白登山に皇帝自ら出向くことを条件に、同盟締結に同意する。楊凌は花当の条件をのむものの、皇帝の身を案じて影武者を立てることにする。一方、満都海と幼娘を連れ帰る途中の成綺韻は、楊凌から満都海を白登山に連れてくるよう命令を受ける。

蒙古軍との戦火は激しさを増している。するとそこに満都海が駆けつけ、伯顔の陰謀が露になった。伯顔が毒の矢を受け瀕死の状態となっていると、満都海が優しく歩み寄って抱擁する。一方、日ごとに病状が悪化して弱っていく楊凌であったが、高文心の閃きにより彼を救う薬草の在りかが判明する。

瀕死の唐一仙を救おうと懸命の看病を続ける皇帝。そこに羞花が現れ、唐一仙の治療を申し出る。だが羞花の真の目的は、皇帝を守ろうとして命を落とした姉の敵討ちだった。羞花の催眠術にかかった唐一仙が皇帝に襲いかかる。時を同じくして、幼娘と共に故郷へ向かっていた楊凌に死期が迫る。果たして皇帝、そして楊凌の運命は？

北宋（ほくそう）の都、東京（とうけい）。皇城司（こうじょうし）では“生き閻魔”と恐れられる指揮（しき）使・顧千帆（こせんはん）の指示で反皇后一味の尋問が行われていた。顧千帆はその証言をもとに、宮中の秘密に関わる絵を求め杭州（こうしゅう）・銭塘（せんとう）へと向かう。銭塘で茶坊を営むちょうふんじは、親友の孫三娘（そんさんじょう）と忙しく立ち働いていた。客の中には顧千帆と配下の賈江（かこう）もいる中、突然役人に追われた賊たちが店に押し入ってくる。

ちょうふんじは、面倒を見てきた琵琶奏者の宋引章（そういんしょう）が、突然周舎（しゅうしゃ）と名乗る商人と結婚すると聞き反対する。しかし、宋引章は強引に駆け落ちしてしまい、楽営（がくえい）からの処罰を心配したちょうふんじは楊府へ口利きを頼みに行く。そこでは顧千帆が楊知遠（ようちえん）に「夜宴図（やえんず）の真作を出せ」と詰め寄っていた。すると外に多数の刺客が現れ、ちょうふんじと顧千帆は池の中に身を隠し危機を脱する。

ちょうふんじは、許嫁（いいなずけ）の欧陽旭（おうようきょく）が高官の娘と結婚すると聞き、真意を確かめるべく都へ向かう。道中、手負いの顧千帆と一緒になり、介抱することに。最初は互いに警戒していた2人だが、ちょうふんじは顧千帆が善人であると感じる。同じ頃、孫三娘は夫に捨てられ、息子を奪われたショックで入水自殺を図る。しかし、運よくちょうふんじに見つかり、顧千帆に間一髪で助けられる。

宋引章は周舎に監禁、虐待され辛い日々を過ごしていた。遊び人の周舎は借金取りに追われ一文無しになっており、宋引章と結婚したのも彼女の財産が目的だった。一方、高官の裏切りで指名手配される身となった顧千帆は、ちょうふんじたちを巻き込まないために別れることにする。そのとき銀瓶（ぎんへい）が現れ、宋引章の悲惨な現状を知ったちょうふんじは顧千帆に助けを求める。

顧千帆が皇城司の指揮使だと知った陳廉（ちんれん）は、配下になりたいと志願し、行動を共にし始める。顧千帆は陳廉に心配されながらも、東京行きを援助してもらうため、親友の万奇（ばんき）のもとへ向かう。ちょうふんじは顧千帆から借りた金で香雲楼（きょううんろう）の２階を貸し切り、孫三娘の協力のもと、周舎に好意を寄せる名妓に扮する徹底ぶりで、周舎への復讐の準備に勤しんでいた。

ちょうふんじは、周舎に好意を抱かせ、宋引章と離縁の約束を取りつけることに成功する。だが、妓女に扮した自らの行いを淫らで低俗なものと卑下するちょうふんじは、穢れを清めるべく、何度も手や顔を洗っていた。そこへ顧千帆が現れ、2人は酒を飲みながら心の内を語り合う。一方、周舎は宋引章に離縁を申し入れるが、痛罵される。そのうち屋敷から火も出てきて…。

顧千帆の助けにより周舎との一件が解決すると、ちょうふんじたちは東京へ向かい、顧千帆とは別れることに。蕭欽言（しょうきんげん）は、息子である顧千帆の命を狙った報いとして、鄭青田（ていせいでん）に自害を命令する。その後、息子のけがを知った蕭欽言は急いで顧千帆のもとへ駆けつけ、手厚く世話を焼こうとする。しかし、蕭欽言を父と認めない顧千帆は、頑なに心を開こうとしない。

ちょうふんじは欧陽旭との再会を喜んだのも束の間、欧陽旭から、高官の娘と結婚するため側室になって欲しいと頼まれる。この提案に激しい拒絶反応を示したちょうふんじは、すぐに孫三娘たちのもとへ帰るが、着いたとたん倒れてしまう。顧千帆は亡くなった配下たちの墓参りをした後、蕭家の執事である忠（ちゅう）氏から、蕭欽言が顧千帆のために奔走していることを聞かされる。

高慧（こうけい）から女の影を指摘された欧陽旭は、ちょうふんじを守るべく言葉巧みにその場を逃げ切る。過去に欧陽旭との婚姻を望んだ良家の娘たちに災難が降りかかったのは、すべて高慧の仕業だと考えていたからだ。孫三娘たちの看病により、ちょうふんじは徐々に回復していったが、宋引章は周舎の件が心の傷となり、悪夢に苦しんでいた。欧陽旭はちょうふんじが病であると聞き心配する。

欧陽旭の変心が許せないちょうふんじは、婚約解消を承諾する代わりにある条件を提示する。しかし、3日経っても音沙汰がないのを不審に思ったちょうふんじと孫三娘は、欧陽旭の屋敷に向かうが、中に入ることができない。そこで2人は、屋敷の前で抗議活動を開始。欧陽旭の下僕である徳叔（とく）の差し金で池蟠（ちはん）の配下たちが邪魔しにくるが、丸め込んで手伝わせることに成功する。

池蟠との勝負に勝ったちょうふんじたちは、池蟠の侍従である何四（かし）たちを好きに使う許可を得る。孫三娘たちの前では強がっているちょうふんじだが、本当は無理をしており、人知れず顧千帆に近くにいて欲しいと願っていた。一方、顧千帆は銭塘にあるちょうふんじの店を密かに訪問。ちょうふんじの安否を気遣い、陳廉にちょうふんじの店の見張りと、孫三娘の前夫と息子の行方を調べさせる。

ちょうふんじたちが欧陽旭の屋敷の前で抗議活動をしていると、官吏が現れ、ちょうふんじたちに厳しい処罰を下した。東京を追い出され、身も心も傷ついたちょうふんじたちが銭塘に帰ろうとしたとき、顧千帆が現れる。顧千帆から厳しくも力強い激励の言葉を受けて、孫三娘と宋引章は東京に残りたいと言い出し、ちょうふんじも同意。陳廉の家族が所有する屋敷に住むことになる。

ちょうふんじたちを都から追い出せたと思った欧陽旭（おうようきょく）だったが、再びちょうふんじの来訪を受け、「夜宴図（やえんず）」を3日以内に返すよう催促される。困りきった欧陽旭は伝令官に賄賂を渡し、皇帝が道教に傾倒していることを知る。そのかいあって西京（せいけい）の道観を管理する職を得る。しかし、許婚（いいなずけ）の高慧（こうけい）の父・高鵠（こうこく）は激怒し、自ら娘との縁談を破棄するよう言い渡すのだった。

東京（とうけい）にいる顧千帆（こせんはん）のもとに斉牧（せいぼく）がやって来る。敬愛する斉牧の来訪に喜ぶ顧千帆だったが、雷敬（らいけい）の失脚を図るのは時期尚早だと諭される。ちょうふんじたちは東京で“趙（ちょう）氏茶坊”という名の店を開く。最初は振るわなかった客足も何四（かし）たちのおかげで人気となる。ちょうふんじを心配し商いに反対する顧千帆だが、ちょうふんじは養われてばかりでは気が引けると茶坊経営に意欲を見せる。

東京で生きていくため、自分にできることは何かよく考えるよう顧千帆から言われた宋引章（そういんしょう）は、ちょうふんじたちを助けたい一心で東京の教坊司（きょうぼうし）を訪れる。教坊司への移籍の希望がかない、教官となった宋引章はそこで沈如琢（しんじょたく）という男に出会う。一方、ちょうふんじは開店したばかりの趙氏茶坊の売り上げ不振に悩む。ちょうふんじは顧千帆に問いかけ、不振の理由を探ろうとする。

ちょうふんじたち3人は、それぞれの強みを活かして茶坊を改装し、出直すことを決意する。女子（おなご）の商いの厳しさも覚悟するが、ずっとこのまま3人で助け合って暮らそうと笑い合った。新装開店の日、店先には杜長風（とちょうふう）など文人たちが集い、灯籠の絵に隠された詩を探ったり、たなびく香の煙に酔いしれたりしていた。新たに“半遮面（はんしゃめん）”が開店し、店は好調なスタートを切った。

蕭謂（しょうい）は父・蕭欽言（しょうきんげん）が長男である自分よりも異母兄弟の顧千帆を特別視していることが不満でならない。于中全（うちゅうぜん）は蕭謂と結託し、顧千帆を陥れるために他国と内通した罪をでっち上げ、共犯者としてちょうふんじを牢獄へ連れて行く。しかし、ちょうふんじは身の危険を察知して事前に手を打っていた。怒った于中全がちょうふんじを手にかけようとしたその時、顧千帆と陳廉（ちんれん）が現れる。

于中全との一連の事件が発覚し、蕭謂は父・蕭欽言から厳しい戒めの文を受け取る。宋引章は、同業者の清茗坊（せいめいぼう）が半遮面を真似ていることを知り怒りを露にするが、ちょうふんじは品質の違いは歴然だと意に介さない。さらに、清茗坊の琵琶奏者に宋引章へ弟子入りを志願させるよう仕向ける。激怒した清茗坊の胡（こ）店主は、半遮面に押しかけ闘茶で決着をつけようと提案する。

とっさの気転が功を奏し、胡店主との勝負に見事勝利したちょうふんじ。夜、誰もいない半遮面の庭で舞を舞っているところへ、顧千帆が訪れる。会うことを拒もうとするちょうふんじに、顧千帆は「妻としたい」と想いを伝える。身分の違いを理由に断ろうとするちょうふんじを説得し、花を差し出す顧千帆。ついにちょうふんじはその花を受け取り、2人は抱き合って幸せをかみしめた。

ちょうふんじと顧千帆は登雲楼（とううんろう）で2人きりの時間を楽しんでいたが、帰りがけに雷敬と出会い、ちょうふんじは先に店を出る。雷敬にちょうふんじのことを聞かれた顧千帆は「ただの遊び相手」と答え、それを聞いたちょうふんじはショックを受ける。斉牧は、雷敬を捕えようと躍起になる顧千帆に、真の敵は蕭欽言であると告げ、顧千帆の使命は朝廷の秩序を正すことだと念を押す。

半遮面で役人を巻き込んだ騒動が起きるが、ちょうふんじは騒動の不審点を見抜く。黒幕が高家の乳母・江（こう）氏だと知ると、単身で高鵠のもとを訪れ、欧陽旭の元許婚である自分を陥れようとする江氏の再教育を求める。高鵠は話を聞くうちにちょうふんじの美しさや賢さに惚れ込み、自分の妾になるよう迫る。するとそこに顧千帆が現れ、ちょうふんじの夫として振る舞い、窮地を逃れる。

琵琶を聴きたいという沈如琢の誘いを受けた宋引章は、盛装して金明池（きんめいち）へ向かう。最初は沈如琢の猛アプローチに戸惑うものの、徐々に存在を意識し始める。沈如琢が遊び人だと知る張好好（ちょうこうこう）は宋引章を心配するが、ちょうふんじを目の敵にする池蟠（ちはん）は静観するように言い放つ。そんな折、帽子の形をした空飛ぶ妖怪が都に毎晩現れ、顧千帆ら皇城司（こうじょうし）の面々は真相解明を急ぐ。

顧千帆はちょうふんじに、ある王妃の物語を聞かせる。貧しくも美貌と才能に恵まれた女子が、早くから身を立て自立し、王妃にまで登り詰めた。だが、ある1枚の絵により出自が低いことが露呈する。ちょうふんじはその絵が「夜宴図」だと察するが、顧千帆はただの物語だと言う。一方、過酷な務めに疲弊し辛い日々を送っていた欧陽旭は、都へ返り咲くことを誓う。

顧千帆は深夜に父である蕭欽言を訪ね、帽妖（ぼうよう）騒ぎが蕭欽言を失脚させる目的で引き起こされた疑いがあると忠告し、自分とちょうふんじの婚姻を認め、祝福してほしいと伝える。蕭欽言は身分の差を理由に難色を示すが、顧千帆の強い意志を受け見守ることにする。高慧は欧陽旭に許婚がいたことを知り激しく動揺するが、そんな高慧を見て、ちょうふんじは人柄の良さを感じる。

顧千帆（こせんはん）は、ちょうふんじを連れて母の墓前に婚約の報告をする。「父親についてはまだ話せない」という顧千帆にちょうふんじは理解を示す。都に戻ると、かつて顧千帆の隣家に住んでいた池蟠（ちはん）に遭遇し、2人は小競り合いを始める。一方、宋引章（そういんしょう）は蕭欽言（しょうきんげん）の寿宴で披露するために琵琶の練習に励んでいたが、良民にしてやるとほのめかす沈如琢（しんじょたく）が気になってしかたがない。

顧千帆ら皇城司（こうじょうし）が尽力して捕えた帽妖（ぼうよう）事件の犯人を、突然殿前司（でんぜんし）の崔指揮（さいしき）が引き取りたいと言い出す。さらに雷敬（らいけい）も登場し、不審に思った顧千帆は何とか引き返させるが、裏に斉牧（せいぼく）が絡んでいると知り衝撃を受ける。蕭欽言の寿宴中、宋引章は蕭家の使用人にぞんざいな扱いを受けるが、顧千帆に助けられ「我慢ならなければ琵琶を剣として戦え」と助言を受ける。