賀（が）太后は、こうゆうの死に疑念をつのらせていた。一方、櫟城に戻った鴻爍は、最愛の姉を失ったことから、絶望し気力を失う。その頃、疏敕では、明夜楓に反乱部族鎮圧の命が下る。明夜楓は、大王が祖神（そしん）の言葉を公表することを条件に、遠征を引き受ける。だがそれは大王と希力度（シーリードゥー）による罠であった。高逸（ガオイー）は琅族のために父親を止めようとするが…。

乱の平定のため配下とともに爾綿（じめん）へ向かった明夜楓は、道中、激しい風雪に見舞われ野営を行う。その際、兵営内にこうゆうが琅族を滅ぼす妖女であるとの噂が流れていることを知り、犯人捜しを始める。一方、櫟城の鴻爍は、こうゆうとの別れに打ちひしがれ、酒に溺れる日々を送っていた。これを見兼ねた穆奇（ぼくき）や侯正則からの苦言も鴻爍の心には届かず…。

爾綿部の乱を平定した明夜楓は凱旋後、大王に退位を迫る。とぼける大王だったが、駆けつけた白沢（はくたく）部たちからも、誓いを守るべきだと詰め寄られる。大王は明夜楓を捕らえるよう命じるが、配下は明夜楓を恐れ投降してしまう。一方、明夜楓が次の大王になると知ったゆう国。大臣から昊和と賀太后に、司馬（しば）の職を設置して賀遥を推薦すると提案されて…。

ゆう国での立場が怪しくなってきたこうけんは、陶申（とうしん）に密書を託して明夜楓から協力を仰ごうとする。その頃、明夜楓は琅族に見守られながら新大王の儀式を行うが、その横に巴音ではなくこうゆうを連れていた。巴音になじられたこうゆうは、あらためて琅族の地で生きることを自覚する。一方、陶申が密書を届けている道中、なぜか約束の場所には凌君（りょうくん）が現れて…。

巴音は明瀬（ミンライ）から明夜楓の考えを聞いて、慎重に動くことを決意する。一方、深夜に昊和から急な呼び出しを受けて参内したこうけん。こうゆうが川に身を投げた状況を話していると賀太后と賀遥も現れ追及を受ける。さらに、賀遥はこうけんが明夜楓に宛てた密書を読み上げ、昊和は激怒する。賀遥が証人として陶申を登場させ、こうけんに揺さぶりをかけようとするが…。

こうけんが公開処刑を言い渡され、鎮北（ちんほく）侯府は一夜で血の海と化した。その情報は明夜楓のもとにも届き、それをこっそり聞いていた巴音は、こうゆうには秘密の情報だったが彼女に伝える。こうゆうは護衛としてついている尤烏（ゆうう）人を別のことに使ってくれと明夜楓に頼むのだった。一方、櫟城に鴻爍を捕らえるために羽林衛が現れ、侯正則（こうせいそく）は急いで鴻爍のもとに向かうが…。

羽林衛に捕まりそうになった鴻爍たちを救った季秋。そして別れの挨拶を告げた後、追手から身を挺して彼らを守り、安全なところまで逃がす。一方、こうゆうは明夜楓に置き手紙を残して1人でこうけんの救出に向かう。そんな中、こうけんを救うため皇宮に向かった晋陽は、傷ついたこうけんを連れて脱出を図る。しかし、途中で見回りに見つかり晋陽はこうけんを守るが…。

官兵に追われ侯正則の家に身を寄せる鴻爍たち。その夜、こうけんを救うため天牢に忍び込んだ鴻爍は、同じ目的でやってきたこうゆうと再会するが、罠を張っていた賀遥に発見されて一緒に逃走する。一方、こうゆうの生存を知った昊和は、賀遥に逆臣捕縛を命ずる。そんな中、わだかまりが溶けないでいた鴻爍とこうゆう。見兼ねた侯正則ときゅうしょうとうは仲を取り持とうとするが…。

鴻爍とこうゆうはともにこうけん救出の策を練るものの、妙案が思いつかなかった。侯正則らの助けにより、こうけんが宮中にいると判明し鴻爍たちは宮中への侵入を図る。だが、見えない力に阻まれ、こうけんのもとにたどり着けなかった。安亭風（あんていふう）の助けで結界から出た2人だが、彼から侵入を諦めるよう警告される。後がない鴻爍たちは、刑場でのこうけん奪還を試みるが…。

刑場に明夜楓（ミンイエフォン）も現れたことを知った昊和（こうわ）は賀遥（がよう）に、琅（ろう）族にこの情報を流すよう指示する。一方、殺されたこうけんの敵を討つため、鴻爍（こうしゃく）は1人で皇宮に乗り込む。昊和と対峙するも、彼の強大な力を前に歯が立たず、とどめを刺されそうになる。間一髪のところを安亭風（あんていふう）に救われた鴻爍は気を失ってしまう。安亭風は侯正則（こうせいそく）ときゅうしょうとうの前に現れて、鴻爍の居場所を教え…。

目覚めた鴻爍は昊和の背後にあった紋様を侯正則ときゅうしょうとうに見せる。見覚えがあるという侯正則に思い出させるが、意味を図りかねた鴻爍は、安亭風ならわかるかもしれないと考える。一方、尤烏（ゆうう）人のもとで過ごしていたこうゆうは、明夜楓だけが尤烏人を災いから守れる存在だと聞かされる。そんな中、命を取り留めたこうけんは凌（りょう）君からある話を聞いて…。

凌君に従い試練に臨んだこうけん。心配した晋陽（しんよう）は、凌君に無理を言って彼を助けに向かう。一方、伊久磨（イージウモー）の解き放った妖魔に取り憑かれたこうゆうは、尤烏人や琅族の前大王、琅族の者たちを次々と殺していくが、明夜楓がなんとか止める。そんな中、安亭風と合流した鴻爍たちはぎょう城を見下ろせる場所に連れられ、大量の妖霊が皇宮に向かって漂っていると教えられ…。

皇宮にいる妖魔が九嬰（きゅうえい）だと知った鴻爍は、安亭風に妖魔祓いの師事を請う。一行は季秋が最後に遺した言葉にある管鑰（かんやく）の地へと向かった。一方、こうゆうの命を守るため、大王の座を捨てて明夜楓が疏敕を離れる。伊久磨を訪ねた高逸（ガオイー）は、彼の真意を聞き新たな大王となった。そんな中、火正祝融（かせいしゅくゆう）として目覚めたこうけんは凌君から九嬰の話を聞いて…。

管鑰の地で厭火（えんか）と戦う鴻爍は、攻撃の衝撃で意識を失う。己の中に眠る人物と対峙し、水正玄冥（すいせいげんめい）として覚醒。厭火を倒した鴻爍は地面に残った撫松（ぶしょう）部の紋様を気にかける。一方、晋陽とともに撫松部の地を訪れたこうけん。族長が亡くなったことに妖魔が関わっていることを知り、退治を引き受けることに。そんな中、凌君の案内で撫松部を訪れた鴻爍はこうけんと再会して…。

金石（きんせき）妖に戦いを挑むこうけんたちだったが、修練を積んだ金石妖は3人の力をはるかに凌駕していた。苦戦を強いられつつも、力を合わせてなんとか勝利し撫松部を救うことに成功する。一方、計り知れない力で撫松部の家を守った侯正則は、自分が妖魔なのではないかと考えてしまう。そんな中、一行は櫟（れき）城へと向かうが、そこは妖魔で溢れかえっていて…。

妖魔が作り出した櫟城へと向かうこうけんと鴻爍。強い妖気を発する踏雲（とううん）楼で女丑（じょちゅう）の尸（し）と遭遇し戦うことに。するとそこに明夜楓と仮面の女が現れ、こうけんたちを阻む。夜明けとともに女丑の尸は姿を消し、仮面の女も気絶するが、仮面の女はこうゆうだった。明夜楓からこうゆうの豹変ぶりを説明された鴻爍たちは、安亭風に同志として互いに受け入れるように言われ…。

晋陽の正体に気づいた鴻爍はこうけんと話をする。妖魔であれ家族は家族だという兄の言葉を聞き、鴻爍は安心する。一方、安亭風は鴻爍たちにこうゆうは土正后土（どせいこうど）であり、体内に九嬰（きゅうえい）が封印されていることを伝える。その話を聞いた明夜楓はこうゆうを救うために手を組むと伝え、鴻爍たちもそれに応じる。皆で赤松澗（せきしょうかん）へと向かうが、琅族に待ち伏せされていて…。

侯正則ときゅうしょうとうの前に現れた季秋（きしゅう）は、すでに現世になく、2人に鴻爍のことを託して消える。一方、桑樹（そうじゅ）の精に命じられた鴻爍とこうゆうは、赤松子（せきしょうし）と帝女桑（ていじょそう）の愛の物語を目にし、水玉（すいぎょく）を得ることに成功する。その頃、妖魔の姿に変身した晋陽は苦しみながらさまよっていた先で、安亭風と凌君に遭遇。晋陽は凌君に元の姿に戻してほしいと懇願するが…。

こうけんは鴆である晋陽を倒し、鴻爍たち五正（ごせい）神官は、鴆の体内にあった九嬰の霊力を得た。桑樹の精によって霊山へと飛ばされた一向は九嬰を倒すために必要な方天矩（ほうてんきょ）を探し始める。一方、鴻爍は侯正則から季秋の話を聞かされ感謝を述べる。そして妖魔である侯正則に友だと伝え、一緒に帰ろうと告げる。そんな中、方天矩を守る霊山十巫（れいざんじっぷ）は五正神官の侵入に気づき…。

霊山十巫は役割を果たすため、それぞれが五正神官のもとへと向かう。霊山を進んでいたこうけんの前には巫即（ふそく）が現れ、2人は激闘を繰り広げるが、こうけんは見事に勝利する。一方、鴻爍と明夜楓の前に現れたのは巫抵と巫礼の兄弟だった。正反対の性格ながら１つの体を共有する巫抵（ふてい）と巫礼（ふれい）の陰陽の陣に苦しめられる鴻爍と明夜楓は、協力して戦おうとするが…。

兄弟を倒した鴻爍の前に続いて巫真（ふしん）が現れる。彼との戦いに勝った鴻爍は侯正則たちの居場所を教えてもらい山頂へと向かう。一方、安亭風の前に現れた巫謝（ふしゃ）。拒絶されながらもずっと安亭風を想い続けてきた巫謝は、彼の隣に立つ凌君を見て怒りをぶつける。巫羅も参戦し、激闘を繰り広げる4人だったが、凌君を守るため安亭風が巫謝にとどめを刺し…。

侯正則こそが方天矩だと知ったこうけんが彼を殺そうとするが、鴻爍は侯正則を守るため立ちふさがる。しかし、安亭風と凌君の企みによって侯正則が妖魔として覚醒。鴻爍はやむなく侯正則を殺すしかなかった。一方、霊力を得たこうけんたちは記憶が蘇り、安亭風が九嬰封印後も生き残っていたことを知る。安亭風は4人を覚醒させるために様々なことをしてきたと語り…。

こうけん、鴻爍、明夜楓はそれぞれ単独で九嬰打倒に走るがうまく行かなかった。安亭風は、思いどおりに事が運ばないことにいらだちを隠せなかった。一方、ぎょう城を根城としていた九嬰は、赤い満月の日についに完全に復活を果たす。そんな中、内輪もめを起こすこうけんと明夜楓。鴻爍は2人を止め、九嬰を倒すため力を合わせる時だと説得するが…。

何者かに襲われ、気を失った黒衣の女性。目覚めるとそこは西啓（さいけい）の皇宮だった。彼女は、自分が西啓の皇帝・容斉（ようせい）の妹で西啓の長公主・容楽（ようらく）だと告げられる。脳に傷を負い、記憶を失っているが、北臨（ほくりん）へ嫁ぐのが嫌で皇宮から逃げ出したのだという。そして、容楽は容斉の手引きで再び皇宮を抜け出すが、逃げた先で不意に刺客に襲われ…。153

政略結婚のために北臨に向かった容楽だが、いざ到着してみると、結婚相手の黎（れい）王・宗政無憂（そうせいむゆう）は無礼な態度で、容楽との婚姻を断固拒絶する。容楽は「答えを出すのは半年後に」と妥協案を出すが、無憂の意思は固い。その裏には、父である北臨の皇帝との確執があった。そんな中、容楽は大切な客人として北臨での居所となる公主府に入る。154

公主府を抜け出した容楽は、容斉から密かに入手を命じられた兵書「山河志（さんがし）」を探すため、その拠点となる茶楼、ろうげつ（ろうげつ）楼に行く。一方、無憂はそこである汚職の証拠を受け取ろうとしていたが、証人となるはずの男は殺され、証拠の密書は偶然、ろうげつ楼の女主人・漫夭（まんよう）に扮した容楽の手に渡る。そこには、皇太子と吏（り）部尚書（しょうしょ）の不正が記されていた。156

陳（ちん）王・宗政無郁（そうせいむいく）は容楽から思いがけず好意を示されたことに戸惑い、何か裏があるのではないかと考える。一方、容楽は男装して香魂（こうこん）楼を訪れる。そこで、目当ての芸妓（げいぎ）・沈魚（ちんぎょ）の本当の身分を言い当て、彼女から情報を聞き出そうとする。その後、無憂に殺されかけた沈魚を助けた容楽は、彼女を身請けするとろうげつ楼に連れ帰る。148

容楽を辱めようとした余世海（よせいかい）の息子・余文杰（よぶんけつ）に罰を与えた北臨帝は、これが皇太子の陰謀だと見抜く。一方、無憂は亡き母・雲児（うんじ）が眠る思雲（しうん）陵を訪ねた後、ろうげつ楼へ。漫夭と碁の対局を楽しんでいると、突如、刺客たちに襲撃される。その時、漫夭を守ろうとした無憂は、女性に触れられないはずの自分が彼女には触れられると気づき…。152

とある客桟で目覚めた容楽は、前の晩に自分を救ってくれた見知らぬ男性に礼を言って公主府に帰る。その男性とは、南境の反乱を平定し、都に凱旋（がいせん）した北臨の将軍・ふちゅう（ふちゅう）だった。そんな中、容楽は黎王暗殺の疑いでろうげつ、沈魚とともに刑部に連行されてしまう。それは自らの身代わりに漫夭を犯人に仕立て上げようとする、皇太子の陰謀で…。155

北臨帝は、西啓の公主との婚姻を嫌がる無憂に、中書監（ちゅうしょかん）の娘・孫雅璃（そんあり）を娶ればよいと勧める。しかし無憂は漫夭に惹かれており、雅璃を娶る気持ちは全くなかった。そこで北臨帝は半年以内に「山河志」を見つけられたら、誰を娶っても構わないと約束する。一方、容楽はろうげつ楼にやってきた無郁の相手をすることになるが…。147