負傷した月紅を心配して駆け寄るも冷たくあしらわれた世傑は、月紅に本心を打ち明ける。それを見ていた桃夭は、恐るべき作戦を実行して月紅を陥れようとする。暮城では、谷野の身の上話を怪しむ俊豪が、滴珠に警戒するよう忠告し、疑われたと感じた谷野は飛び出してしまう。狼が出る時間になっても戻らない谷野を捜しに滴珠は１人で山に入る。

急遽、体調を崩した玉楼の代理で世傑が貴太妃の葬儀を取り仕切ることになる。葬儀の最中、突然爆音が鳴り響き副葬品が盗まれる。責任を問われた世傑は捕まり、その調査は孫遜の政敵・京冠に任される。汚い手で世傑を陥れた京冠は、父親の孫遜にも責任があると罷免を要求。孫家の危機を察知した桃夭はさっそく保身に走るが…。

前日の事件を受け、滴珠の婚礼はとりやめに。気丈に振る舞う滴珠だったが…。そんな中、封鎖された城門を無理やり突破しようとした谷野が捕まり、俊豪が連れて帰る。城外に向かった理由を問われ、滴珠のために花を摘みに行くつもりだったと答える谷野。弟のように思っていると言う滴珠に対し、婚礼までに君を奪うと谷野は宣言する。

玉楼の２番目の姉・有徳（ゆうとく）の婚家で夫の葬儀が行われる。姑の李（り）夫人が娘・李櫻（りおう）の刺繍の腕前を自慢していると、男が乱入してきて李櫻と深い仲だと騒ぎ立てる。一方、暮城では俊豪が援軍要請のため危険な旅に出ることになり、谷野に滴珠の安全を託す。谷野が街で自分に合図を送る男の後をついていくと、そこには意外な人物が待っていた。

有徳に殉死の命が下るも、少春が脈をとり懐妊の兆しを告げて、その場をしのぐ。兄嫁の有徳を邪魔に思う李櫻や義弟の李想（りしょう）は医者の診察を受けるべきと言い募るが、少春が李夫人を説得し事なきを得る。有徳は李想とその妻を呼び、科挙のための学校を見つけて席を用意したと伝えると、一転、義弟夫婦は態度を変えて有徳に感謝の意を伝える。

若き日の有徳が望まない縁談話に泣いていると、かつて助けてくれた男が再び現れる。彼の言うとおりにまじないをすると、なぜか困りごとが次々と解決していく。外の世界へ連れ出され、初めて自由を知る有徳。孫遜が決めた李家との縁談から逃れ、男と駆け落ちすることを決心した有徳は、深夜の河原で落ち合う約束をするが…。

玉楼が幼い頃に遠方に嫁いだ３番目の姉・有容（ゆうよう）が久々に孫家に帰ってくる。羽振りがよさそうな有容の景気のいい儲け話に月紅や鳳翹たちは乗り気だが、有容のどこか不自然な様子を少春は見逃さない。何か事情がありそうだと察した少春の話を聞いた月紅たちは前言を撤回し、慎重な姿勢に転じる。そんな中、金閣がとんでもない騒動を引き起こす。

有容の夫・方家鼎（ほうかてい）はその文才を見込まれて書記官にと誘われる。舞い上がる家鼎だったが、すぐに失意を抱く。そこへ有容が帰ってきて夫を励ますと…。ある夜、大きな爆発音がして孫家の皆は驚き外に出る。金閣が何かを爆発させたようで、孫遜は激怒。玉楼が兄の後を追うと金閣は一冊の本を見せながら熱い胸の内を語るのだった。

少春の師匠は、助けはいらないと孫遜に言い切る。さらに思い出は心の奥に眠っていると告げ、孫遜は身を引くことにする。その頃、逢源が手柄を立てて朝廷に返り咲き、再び京冠と組んで孫遜を失脚させようと策を練る。そして藩（はん）才人に、かつて皇長子が夭折したのは有貞が贈った服が原因だと言わせ、有貞に疑惑の目を向けさせる。

３日で真相を明らかにすると言う少春に皇帝は捜査を許可する。有貞の無実を信じる少春は、不可解な証言をして牢に入った李（り）太医に面会し、妻子が人質に取られていることを確信する。ところが少春は敵に捕まり、閉じ込められてしまう。約束した期限が迫る中、玉楼は宮中で起こっている事態を知り、なんとかして時間を稼ごうと奔走する。

京冠から父の話を聞いた少春は、孫遜に長く仕える丁（てい）番頭の動向を探る。変装してまで情報を引き出そうとするが見破られてしまう少春。そんな中、少春は孫遜から自分を疑っているなら一緒に来いと、朝廷の貯水池に連れていかれる。確たる証がないまま、再び少春が京冠に会っていると孫遜の別邸から火が出たとの一報が入る。

孫遜は皇帝から毒酒を賜り、孫家の息子たちは刑を免れるものの一家は没落してしまう。誰もいなくなった屋敷で酔った玉楼は、少春に歌を歌ってくれと頼む。幸せな思い出を胸に、眠りに落ちる２人。しかし少春が目を覚ますとそこに玉楼の姿はなく、自分のことは捜さずに忘れてほしいという手紙だけが残されていた。

北淵では鮫族の王子・長意（ちょうい）に捕らわれた御霊師・紀雲禾（きうんか）が湖心島の雲苑に軟禁され、一族を守るために命を懸けた狐王・卿玄（けいげん）の仙体は目覚めるまで封印される。また、仙師府では顔に深傷を負った仙姫・汝菱（じょりょう）が仙師・寧清（ねいせい）の荒治療による痛みに苦しむ一方、汝菱を救った万花谷の谷主・林昊青（りんこうせい）はその功績を利用して彼女に近づき…。

王女・卿瑶（けいよう）は紀雲禾（きうんか）が叔母・卿舒（けいしょ）と同じ赤い狐火を使うのを見て彼女が卿舒を殺したと思う。その誤解は長意（ちょうい）の説明で解けるが、狐族の間で紀雲禾への敵意が強まっていく。一方、余命わずかの紀雲禾は最後の力を振り絞って雲苑を抜け出すと束の間の自由を味わう。だが、すぐに長意に捕らえられ耳に消えない烙印を残され…。

互いに想い合っているのにそれを決して認めようとしない紀雲禾（きうんか）と長意（ちょうい）。その意地の張り合いに心を痛める山猫族の王子・離殊（りしゅ）を見て、元恋人の御霊師・雪三月（せつさんげつ）は彼に本音を打ち明ける。その後、長意が北淵の長・尊主に就任する式典が執り行われる。折しもその日、自分で人生に決着をつけると決めた紀雲禾は部屋で練炭を焚くと…。

寧清（ねいせい）の元弟子で長意（ちょうい）の腹心となった空明（こうめい）は、執着心を捨てられない長意を案じつつ紀雲禾（きうんか）の治療を引き受ける。その頃、仙師府では汝菱（じょりょう）が林昊青（りんこうせい）の言葉を思い出し寧清の密室へ。そこで彼女そっくりの女性の絵姿を見つけて自分は身代わりに過ぎないと思い知らされる。一方、囚徒生活に戻った紀雲禾は思いがけず長意に接吻されると…。

青（せい）姫から玉露霊芝があれば紀雲禾（きうんか）の延命が可能かもしれないと聞いた雪三月（せつさんげつ）は岱輿へ向かい、離殊（りしゅ）もその後を追う。一方、林昊青（りんこうせい）は汝菱（じょりょう）に北淵の征伐を申し出るが、紀雲禾を殺すのが条件だと言われる。その頃、仙侍・洛錦桑（らくきんそう）は紀雲禾を救ってもらおうと空明（こうめい）の元に通っていた。すると、最初は迷惑がっていた空明も彼女にほだされて…。

雪三月（せつさんげつ）が岱輿で修行中の天君と出会い玉露霊芝が成熟するのを待っていた頃、昏睡状態の紀雲禾（きうんか）はかつて夢の中で出会った汝菱（じょりょう）にそっくりな女性と再会を果たす。そして、長意（ちょうい）に口移しで体内の鮫珠に霊力を送られて小康状態となった紀雲禾は、青（せい）姫から万花谷唯一の女谷主だった寧悉語（ねいしつぎょ）とその弟子・寧若初（ねいじゃくしょ）、寧清（ねいせい）の話を聞いて…。

北淵に進軍してきた林昊青（りんこうせい）から紀雲禾（きうんか）の引き渡しを求められるも、きっぱりと断った長意（ちょうい）。そんな彼に一時的に鮫珠を返した紀雲禾は、過去の真相を確かめるべく再び夢の中で寧悉語（ねいしつぎょ）に会い、寧清（ねいせい）がこの世に恨みを抱えて生きるようになった経緯を聞く。その後、鮫珠を戻された紀雲禾は青（せい）姫が敵陣から捕らえてきた林昊青と面会し…。

天君が無量金雷に襲われた雪三月（せつさんげつ）と離殊（りしゅ）を仙令によって救うとある地図が出現、無事に玉露霊芝を手に入れた雪三月と離殊は帰路につく。一方その頃、紀雲禾（きうんか）は密かに林昊青（りんこうせい）と合流して逃亡を図るが、卿瑶（けいよう）と目覚めたばかりの卿玄（けいげん）に行く手を阻まれる。その結果、卿玄が致命傷を負い、怒りに駆られた卿瑶は紀雲禾を殺そうとするが…。

平和を望む紀雲禾（きうんか）は空明（こうめい）から霊力を奮起させる丹薬をもらって飲むと、北淵の軍勢と対峙する万花谷の御霊師たちの前に立ち、北淵に帰順するよう説得する。だが、そこで最期の霊力を使い果たした紀雲禾は長意（ちょうい）の腕の中で息絶え、体内の鮫珠が長意の体に戻っていく。一方、紀雲禾から過去の真相を伝える遺書を受け取った青（せい）姫は…。

長意（ちょうい）は紀雲禾（きうんか）がかつて自由を味わった思い出の冰湖で消えていく彼女を見送る。それを見守った天君は紀雲禾の遺言から仙令が示しているのは寧清（ねいせい）の持つ強大な霊力の秘密が隠された無名山だと悟り、その所在を探すために旅立つ。一方、林昊青（りんこうせい）は御霊師の体を失い小さな九尾狐となった紀雲禾を見つけると密かに万花谷に連れ帰り…。

汝菱（じょりょう）は仙師府に背いて人間界に逃げた御霊師たちを捕らえるように腹心の朱凌（しゅりょう）に命じる。一方、兄弟子の姫成羽（きせいう）はそれを密かに空明（こうめい）に知らせる。その頃、万花谷では幼い紀雲禾（きうんか）が林昊青（りんこうせい）に守られながらすくすくと育っていた。そして、彼女は師匠と慕う林昊青から護身のための法術や外見を変えて見せるための幻形術を学ぶと…。

林昊青（りんこうせい）は寒霜の解毒薬が完成したら紀雲禾（きうんか）と世界を巡る旅に出ようと考えていた。だが、長老・東濂（とうれん）ら御霊師が朱凌（しゅりょう）に捕らえられ、彼らが持ち帰るはずだった薊柏草を受け取れず解毒薬作りは失敗に終わる。そこで彼は紀雲禾を先に独りで人間界へと送り出す。すると、幻形術で少年に化けた紀雲禾は仙師府の弟子・姫寧（きねい）と知り合って…。

北淵で投獄されるも機転を利かせて脱獄した紀雲禾（きうんか）。光る真珠に導かれた彼女は長意（ちょうい）と出くわすが、万花谷から来たことは隠すことにする。一方その頃、林昊青（りんこうせい）は汝菱（じょりょう）に従順なふりを続けることで、何としても東濂（とうれん）たちを救い解毒薬の研究を続けるつもりでいた。また、雪三月（せつさんげつ）と離殊（りしゅ）は天君の一行とは分かれて無名山を探していたが…。

紀雲禾（きうんか）の策で殺人の罪を逃れようとしていた奇鋒（きほう）が捕らえられる一方、紀雲禾は奇鋒の手下に襲われる。そこに駆けつけた長意（ちょうい）は幻形術が解けた紀雲禾を見て彼女の正体に気づく。一方、天君たちはついに無名山に辿り着き真実を知る。先の天君がここに封じた悪念と化した凶獣の朱厭（しゅえん）は、寧清（ねいせい）と取引きして肉体の復活を企てていた…。

長意（ちょうい）は紀雲禾（きうんか）の幸せを願い以前の記憶がない彼女に優しく接する。一方、林昊青（りんこうせい）は解毒薬を完成させるが、なぜか寒霜は解けない。また、紀雲禾が北淵にいると知って迎えに行くが、その時、朱凌（しゅりょう）が雷火地脈を復活させたため北淵は爆発寸前となる。それを長意が命懸けで止めようとしているところに、紀雲禾も飛び込んでいくと…。

朱厭（しゅえん）を滅ぼさないと寒霜も解けないと知った林昊青（りんこうせい）は、記憶を取り戻した紀雲禾（きうんか）を長意（ちょうい）に託すと朱厭と戦うことを決意。一方、紀雲禾と長意はわだかまりを解いて変わらぬ愛を誓い合う。また、林昊青と手を結んだ青（せい）姫は楽游山に寧清（ねいせい）を誘き出すが絶体絶命に。すると、朱厭が現れて地仙同士なら肉体が共有できると彼女を誘惑して…。

紀雲禾（きうんか）は自ら仙師府に赴いて寧清（ねいせい）と対峙し、長意（ちょうい）と寧悉語（ねいしつぎょ）の力を借りて朱厭（しゅえん）が宿る寧清の指輪を外させることに成功。そこで長意が心血鋳剣で朱厭に止めを刺すが、その際に致命傷を負った彼は空明（こうめい）の必死の治療も虚しく余命わずかとなってしまう。同時に、恨みを募らせた汝菱（じょりょう）が寧清と朱厭の邪悪な霊力を引き継ぎ妖魔と化して…。

長意（ちょうい）の命が尽きようとしていると知って決意を固めた紀雲禾（きうんか）は3日後に婚礼を挙げると発表、いそいそと婚礼衣装を手作りし始める。一方、離殊（りしゅ）は雪三月（せつさんげつ）と幸せになるつもりが、自分には命を懸けてもやり遂げなければならない使命が残されていると知って悩む。こうして迎えた婚礼当日、皆に祝福されながら愛を誓った二人は…。